真面目にう●ち話

多くの女性が大好きで、黒っぽい色をしてるモノが多く、硬くなったり柔らかくなったりする「ち◯こ」ってなーんだ?という有名なクイズがある。ご存知の通り出題者が回答者に期待する答えはちんこで、その上で出題者が提示したい解答は「答えはチョコでした~~!え?他に何かあるの?チョコ以外に思い浮かぶ答えがあったの~~?」というセクハラど真ん中ストレート火の玉豪速球だ。ただし僕が今日始めたい話はちんこでもチョコでもなくうんちについてだ。今この瞬間に本当にごめんなさいあと3行だけ付き合ってくださいと言わせて頂きたい。分かっているんです。このたった数秒あるいはたった数百文字を通して一定数の読者を落胆させてしまったことを。想定しているんです。一応事前ヒアリングの結果「そんなこと書かれた瞬間に読む気失せる」とピシャリと妻に言われたんです。でも今日はうんちから始めないといけないんです。クソ真面目な話が後に待っているんでどうか辛抱をお願いしたいのです。

 

「う」から始まるソレを語りたくも「う」から始まるソレをの名を頻発させることも憚られるため、比喩表現として面白おかしくそれでいて秀逸に言い得て妙な代理物を探していた。その模索の中で妻に「硬かったり柔らかかったりするものって何があるー?」とヒントを求めたところチョコという返事が返ってきた。よって以降チョコという名称を使わせて頂くと同時についでに触りとして最低なイントロダクションを設けさせて頂いた。今一度ごめんなさい。硬い・柔らかいをソフトに言い回したかっただけなのです。

 

人間は誰しもチョコレート工場だ。人間に限らず生きとし生けるものは漏れなくチョコレートを生産している。僕は海外生活を始めてから、チョコレート工場というイチ生産活動の場が自分という全世界に対してどれだけの影響力を有しているかこれでもかと思い知った。

そもそも今までの人生において、健康的なチョコレート生産を実現できた時間は極めて少なかった。ほとんどの人生を硬すぎたり柔らかすぎるチョコレートと共に過ごしてきており、もはやその状態が通常状態であるという認識すら持つようになっていた。そうは言いつつも何日もお通じがご無沙汰していることに悩んだり、突然胃腸の緊急事態警報が鳴り響くことを今か今かと怯えている人が決して少数派ではないのではと邪推するのも事実だ。このブログを読んでらっしゃる方の中にも自分のチョコレート生活は順風満帆だと胸を張って言える人は必ずしも多くないのではと拝察する。

 

今となっては超健全なチョコレート経営を実現できているからこそ、日本での生活を振り返って自分の日常に足りていなかった要素、満たせていなかった要件が幾つかの思い当たる。

 

まずは摂取する水分量。日本で生活していたときは明らかに水分が不足していた。幸か不幸か人間は幾分かの水不足は苦痛なくやり過ごせてしまう素養を備えているようだ。日本で過ごしていた自分は今となっては明らかに水分が枯渇しており、それ故にチョコレートの潤渇度が適正範囲を大きく下回ることが多々あった。逆にこちらに来てからは幸いオフィスにキッチンが備わっていることとそこに常備されているオレンジジュースがめっちゃ旨いことが重なり、常に水分を摂取しながら仕事をしている。そして空気が乾燥しているため常に喉が水分を欲しているというコンディションが更に水分補給を促している。結果的にガブガブ水分を取り込み、常に体内の潤い保持を実現できている。

次に温度調節の重要性だ。東京に暮らしていると必然公共交通機関を多用する生活になり、即ち自宅から最寄り駅、勤務地から最寄駅は外気に晒されながら一定時間歩く必要性が生じる。屋外・屋内の室温変化が激しいためその分衣服の選択は困難になり、相当うまく立ち回らないかぎり電車内で暑すぎるか屋外で寒い思いをする羽目になる。衣服を身に纏うことを極力避け身軽でありたい自分はそれでいて極めて寒さに弱いことも重なり、許容範囲以上に冷気に晒される時間が多くなり結果的におなか⭐︎緊急事態警報が常に鳴り響くような日常を営んでいた。翻って現在は車通勤の日常で生活しており、家-車-オフィスとほとんど気温を調節できる環境下に身を置けている。しかも東京に比べてこの街は一年を通して+5℃ぐらいの気温を維持してる。体を冷やすことなく過ごす暮らしはいつしかけたたましい緊急事態警報の存在を忘れ去っていった。

 

健全なチョコレート生活を手に入れて改めて実感する事実は、マズローピラミッドの下段は馬鹿に出来ないなということだ。定期的なチョコ通を実現できていることがどれだけ価値あることか噛み締める一年であったと言っても過言ではない。これは旅行や出張に出向くとなおのこと実感することができる。必要な水分量を確保することは思っている以上に努力を要する。油断すると人は(僕は)容易に必要水分量を下回った状態で時間を過ごせてしまうのだ。そして問題はそこから導かれるチョコ供給不足に直面したときだ。腹痛・食欲低下などの客観的にも把握しやすい現象に加え、多かれ少なかれ心理的な影響がチョコ供給不足者の頭を抱えさせる。旅行に行ってどんな観光地を前にしても(嗚呼…自分はお通じとご無沙汰な人種…)という悩みが常に脳裏に過りうるし、日常生活においても「初めまして!ワタナベと申します!(本日お通じアリ!キリッ)」と自己紹介するのと「初めまして…ワタナベと申します(実は3日間ご無沙汰で…)」と申し出るのとでは伝わる覇気が違う。ダウンサイドを知っているからこそ健康体でいることが大いなる精神的な支えとなるし、アップサイドを知っているからこそ小さな不健全が気掛かりになる。

 

マズローの五段階欲求は5つに区切られたピラミッドで知られ、下段の生理的欲求から上段の自己実現の欲求までで表される。上段に行けば行くほど人間らしい、より賞賛される対象だとされるのが現代のイデオロギーのように感じるが、イチ個人の幸福を考えたときそこに優劣はなくただの”異なる種類の欲求”として捉えられるようにも思う。いかんせん社会的に成果を認められたときに得られる精神的報酬と、不健全うんちマンが健康な便通を獲得した暁に得られる精神的デルタは、互いに優劣つけ難くどちらも極めて喜ばしい出来事なのだ。